組織奴隷のマトリクス
前回は主に敵を知り、分析するという視点でのテーマだった。
今回のテーマは「自分を知る」ということだ。
「自分の立ち位置」を知ると言う事も出来る。
「敵を知り」
「自分を知る」
この二つが揃って初めて、戦略が見え、戦術が生きてくる。
武器の使い方もわかる。
「自分を知る」
これが十分出来ていない人は本当に多い。
本当は他人からいじられて輝けるキャラなのに、そうじゃないと自分では頑なに認めない残念な人。
市場から求められているキャラクターに気付かない、またわかっていても成りきれないと、ズレが生じて扱いにくい奴になる。
そして、毎年一定数テレビから消えていく芸能人のように道が「途絶える」のだ。
また、合コンやパーティで自分の戦闘力を客観的に把握せずに人気美女やあなたに気があるように「見える」女性に特攻し、撃沈する人。
その勇気は称賛に値するが、自分の立ち位置を見ようとせず無駄な努力を続けても得るものは少ない。
うまくいく時は、今のあなたのやり方にたまたま「ハマる」人が現れた時だけだ。
学生の頃、島田紳助さんが書いた本を読んだ。
確かタイトルは『自己プロデュース力』だったと思う。
今は表舞台から退いてしまったが、確かに一時期トップレベルに達していた人だ。
そんな人でも、あんなに活躍する前は華のある明石家さんま、正統派漫才のオール阪神・巨人を同期にもち、苦戦することを予想していたそうだ。
他の芸人が出ている劇場にレコーダーまで持ち込んで、徹底的に客が笑うタイミングや間を分析し、自分の目指す「ゴール」となるあのキャラを設定した上で、相方探しや努力をしていたのだ。
他にも、気が遠くなるような細かい努力を日々重ねていた。
しかしやはり、最初にやっていたのは自分と敵のポジションの把握なのである。
会社組織においては、強引に自分のキャラを貫くことには、リスクしかない。
そうするのは、状況分析をした後に、勝算を計算してからでも遅くはない。
要するに、物事にはスタート地点があって、ゴールがある。
まずは、組織内で自分がどのスタート地点にいるのかを確認して頂きたい。
以下に参考となるマトリクスを作った。
これは僕自身が8年間の奴隷として生活した経験を元に作った。
僕は8年間でこの4つのクワドラントを全て経験している。
誰しもが新入社員のころは「犬」からスタートする。
簡単な雑用をこなし、エサをもらう。
そして、体感的には半分くらいはそのままずっと「犬」のままだ。
社歴が20年以上もあるのに「ドッグライフ」を続けている大先輩方が僕の働いている会社にも大勢いる。
また、着々と信用を高めて「透明人間」に昇格している人もいる。
ひと昔前の表現で言うと「窓際族」とでも言うのだろうか。
また、色々やらかして、「爆弾魔」になっていく人たちもいる。
そして当然、自分のスキルを磨ける美味しい仕事を貰いたければ「エース」になるしかない。
別にどこにいても、あなたが理想とする環境であればOKなのだ。
本当に理想としていれば。
もちろん、ブラック上司からの攻撃を遠ざけて、自由を確保したければ、能力や存在感があろうがなかろうが、信用を積み立てて右側のクワドラントに移動することが望ましい。
ただ、これはグッドニュースだ。
なぜなら敵のマトリクスは選べないが、こっちは自分の意識と、行動でポジションチェンジが可能であることを意味しているからだ。
基本的に表面上ボスの言うことを素直に聞いて入れば、
右側に移動できる。
ただし、相手の意図を汲み取っていることが前提となる。
よくいるのが、汲み取ったつもりで全然違うことをやらかして、
どんどん爆弾魔と化していく人たちだ。
そう、昔ボンバーマンで、思った場所と違う位置に爆弾を設置し、
自分の置いた爆弾で閉じ込められて華麗に爆死していくあの人たちだ。
そういう人たちをたくさん見てきた。
だから、組織の中である程度自由を得たければ、正しく信用を積み重ねていく。
これしかないのだ。
次からは具体的な戦略や戦術、使用する武器について論じていく。